138 名前:名も無きAAのようです :2015/03/23(月) 23:58:08 ID:GbIKK9d60
川д川「新店舗のデザイン案だぁ?」

川 ゚ -゚)「ああ、少々行き詰まっていてな。イメージとしてはこの部屋のようなオーセンティックバーをベースに考えているのだが」

川д川「はぁ」

川 ゚ -゚)「バーというのは専門外なものでね。頭にイメージがあってもうまいこと固まらないんだよ」

川д川「ちょい待てぇ? なあぁんでレストランで働いてるお前が店舗のデザインなんか考えなきゃならねえんだぁ?」

川 ゚ -゚)「?? レストランで働いてるからこそだろう」

川д川「はぁ? 最近のウェイターやコックはそんな重要な仕事までしているのかぁ?」

川 ゚ -゚)「……もしや君は私の事をウェイターやらコックの見習いとでも思っていたのかい?」

川д川「違うのかぁ? この前ケーキ持って来てくれたじゃねえかぁ」

139 名前:名も無きAAのようです :2015/03/23(月) 23:59:53 ID:GbIKK9d60
川 ゚ -゚)「言っただろう。『ウチの店で作った』ものだと」

川д川「??」

川; ゚ -゚)「……はぁ、まあ説明していなかった私も悪いな」

川 ゚ -゚)「ほら、遅くなったが私の名刺だ」

川д川「どれどれぇ……って、おい」

川;д川「これぇ、冗談だろぉ?」

川 ゚ -゚)「冗談な訳が無いだろう。まだまだ若輩者だが、イタリアンレストランの経営者(オーナー)をやっているんだ」

川;д川「えぇ……だってよぉ、アンタまだ20代だろぉ?」

川 ゚ -゚)「今の時代、20代で経営者なんて珍しくもないだろう。ニートの君には興味の無い話題かもしれないがな」

川;д川「いやぁ、マジでビックリしたわぁ。なぁるほどなぁ、だから新店舗のデザインねぇ」

140 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:02:39 ID:U7hD1wEQ0
川 ゚ -゚)「ああ、ダイニングバーを考えているのでね。君にもデザインの意見を聞こうかと思ってね」

川д川「ただのニートに意見なんか求めんなよぉ。ダチのデザイナーのやつにでも聞いといてやらぁ」

川 ゚ -゚)「うむ。助かるよ」


ウイスキーがお好きでしょ〜♪


川д川「あぁ? こんな時間に電話だぁ?『もしもしぃ?』」

川; ゚ -゚)(何で着信が石川さゆりなんだ?)

川;д川「はあぁ!? 今からだとぉ!? テメェいきなり過ぎんだよぉ!!」

川;д川「もうすぐ着くって、おいこらぁ!! 勝手に話まとめてんじゃっ……て、もしもしぃ!? もしもしぃ!?」

川#д川「あんにゃろうがぁ……」プチッ

141 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:04:03 ID:U7hD1wEQ0
川 ゚ -゚)「どうしたんだ?」

川;д川「悪いなぁクールゥ……煩いのが2人程乗り込んで来ることになっちまったぁ」

川 ゚ -゚)「私も勝手に上がり込んでいる身分だ、構わないよ。君の友人かい?」

川д川「あぁ、まあなぁ。ちぃ、どいつもこいつも来る1時間前には電話しろっつうのによぉ」ピンポーンピンポーン

川 ゚ -゚)「おや、早速のようだね」

川#д川「あぁもう!!『とっとと上がって来やがれ糞ったれどもがぁ!!』」

142 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:04:48 ID:U7hD1wEQ0




【糞ったれBAR NEETのようです】


      【OPEN】





.

145 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:10:39 ID:U7hD1wEQ0
ガチャッ

(* ´_ゝ`)「無限に広がる大宇宙!!」

(´<_`;)「そのネタ分かるやつは殆ど居ないと思うぞ? 兄者」

川#д川「ケッ! 来やがったな糞ったれどもがぁ!!」

( ´_ゝ`)「いやぁ久しぶりだねぇミルナ……ってあれ?」

川 ゚ -゚)「どうも、こんばんは」

(´<_` )「おや、お客さんが居たのか。こんばんは」

( ´_ゝ`)「……」

( ^_ゝ^)「」ニコッ

川д川「あぁん?」





(# ゚_ゝ゚)「死んでしまえええぇぇこの糞ったれリア充ニートがあああぁぁぁ!!」

川#д゚川「脈絡も無くいきなり怒鳴りかかってくるの止めてくれませんかねえ!? この糞ったれがあぁ!!」

146 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:12:05 ID:U7hD1wEQ0
(# ´_ゝ`)「これが怒鳴らずにいられるかあ!! ちょっと目を離した隙にこんな美人の彼女作りやがってこのヤリチンニート!!」

川#д゚川「まず彼女じゃねえしヤリチンでもねえよ糞ったれがあああぁぁぁ!!」

川; ゚ -゚)(随分と、まあ、個性的な友人だな……)

(´<_`;)「煩くしてしまって申し訳ない」

川; ゚ -゚)「いや、大丈夫だよ。それにしても……似てるな」

(´<_` )「一卵性の双子なもので。俺は『流石弟者』といいます。あっちの馬鹿が兄貴の『流石兄者』です」

川 ゚ -゚)「また覚えやすい名前だな。『素直クール』だ、よろしく」

(´<_` )「ミルナとはご友人で?」

川 ゚ -゚)「ああ、共通の友人にバーテンダーがいてね。半年くらい前からこうして世話になっているんだ」

(´<_` )「なるほど」

148 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:13:09 ID:U7hD1wEQ0
(# ´_ゝ`)「こら弟者! 俺が目を離した隙にナンパに興じるとは何事だこのヤリチン2号が!!」

(´<_` )「挨拶しただけだ。大体初対面の女性の前でそんな下品な事を言うな」

川д川「そんなんだからテメェはいつまで経っても童貞なんだろうがぁ」

(# ;_ゝ;)「童貞じゃないもん! 精神的には画面の向こうのワタナベたんとギシギシアンアンやってるから童貞じゃないもん!!」

川;д川「まぁだ2次元に逃げてるのかお前はぁ……」

川 ゚ -゚)「ワタナベたん?」

(´<_` )「ボーカロイドって分かります? 簡単に言うと、ああいう感じの空想上のアイドルキャラクターみたいなやつです」

川; ゚ -゚)「ああ、なるほど」

149 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:14:49 ID:U7hD1wEQ0
(# ;_ゝ;)「畜生! どうして同じ顔なのに弟者はモテて俺だけモテないんだよー!!」

(´<_` )「俺だって別にモテてる訳じゃないだろうが」

(# ´_ゝ`)「お前は初対面のおにゃのこに気さくに話しかける事ができるじゃないか!! これをモテると言わずに何と言うか!!」

(´<_`;)「いや、むしろ挨拶すら出来ない兄者の方が色々と問題がある気がするのだが」

(# ;_ゝ;)「うるしゃいうるしゃい!! 弟者なんか嫌いだぁ!! お前のPCに用量いっぱいになるまでエロ画像送りつけてやる!!」

(´<_` #)「地味に面倒な嫌がらせは止めろ! このコミュ障が!!」

(# ;_ゝ;)「ミルナ――弟者が苛めるよ――!!」

川д川「……あっ、悪ぃ。今ゴリラの事考えてたぁ」

(;´_ゝ`)そ「ちょっミルナさ――――ん!?」

川 ゚ -゚)(なぜ急にゴリラ?)

150 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:15:49 ID:U7hD1wEQ0
川д川「つぅかよぉ。お前らがこうして来たって事は、だぁ」

(´<_`;)「……あぁ、多分ミルナが想像している通りだ」

(;´_ゝ`)「いつも通り、『望まぬ臨時収入』が入ったんだよ」

川 ゚ -゚)「?? 話に割り込むようで悪いが、臨時収入なら有りがたい事じゃないのか?」

川д川「あぁ、クールは知らねえよなぁ。まぁとりあえず頭から説明するとぉ、コイツらって漫画家なんだよぉ」

川 ゚ -゚)「ほう、それは凄いな」

(;´_ゝ`)「ちょいちょい! その紹介は悪意を感じるぜミルナ!」

(´<_`;)「俺達はあくまで副業で漫画を描いているだけなんだ!」

151 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:16:49 ID:U7hD1wEQ0
川д川「副業ねぇ。本業だけで喰ってけない奴がよく言うぜぇ」

(;´_ゝ`)「ぐっ……!」

(´<_`;)「痛いところを」

川 ゚ -゚)「ん? 副業?」

(´<_`;)「ああ。俺の本業は小説家で、兄者の本業はイラストレーターなんだ」

(;´_ゝ`)「ただ、まあ、ミルナの言う通りでさ。本業の方が全く稼げなくてね―」

(´<_`;)「副業の漫画の方ばっかり売れてしまって……いや、金が入るのは有りがたいと言えば有りがたいんだが」

(;´_ゝ`)「不名誉な売れ方しちゃってるからね―。何でこうなっちゃったのかな―」

川 ゚ -゚)「不名誉な売れ方?」

152 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:17:55 ID:U7hD1wEQ0
川д川「あぁ、早い話がこいつらよぉ。漫画家は漫画家でもエロ漫画家なんだわぁ」

川 ゚ -゚)「……うわあ」

(´<_`;)「ああ止めてくれ! そんな便所虫を見るような瞳で俺達を見ないでくれ!!」

(;´_ゝ`)「ああ刺さる! 美人の冷たい視線が俺のハートにビシビシ刺さる!! なんか新たなセイヘキに目覚めそう!! 何これ、恋!?」

(´<_` #)「俺まで同類に見られるから変な事言うな馬鹿兄者!!」

川 ゚ -゚)「まあ、趣味は人それぞれだからな、うん」

(´<_`;)「誤解しないでくれ! 俺達だってエロ漫画家になるつもりなんか無かったんだよ!!」

(;´_ゝ`)「学生時代に小遣い稼ぎに書き上げた同人誌が出版社の目に止まっちゃって……あ―今考えりゃあんなもん書かなきゃよかったな―」

153 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:18:48 ID:U7hD1wEQ0
(´<_` )「そこからとんとん拍子に話が進み、あっという間に連載を持つ事になり」

( ´_ゝ`)「気が付いた頃にはマイナー雑誌2社の看板作品になってしまい、辞めたくても辞められないポジションを築いてしまい」

(´<_` )「知らない間に俺達『流石兄弟』のファンクラブまで出来上がり、作品はマニアの熱狂的支持のせいでアニメ化までされ始め……」

( ´_ゝ`)「PCゲームまで販売されるようになりやがって、ハハハッいや―儲かる儲かる。不思議な事に全く嬉しく無いけどね!」

(´<_` #)「畜生……俺はただ宮部みゆきさんのような夢溢れる作品を生み出す小説家になりたかっただけなのに!」

(# ´_ゝ`)「俺だって! こんなキャラだから誤解されるけど好きでチンコやらオッパイばっかり描いてる訳じゃないやい!!」

(;´_ゝ`)「「はぁ……どうしてこうなった」」(´<_`;)

川;д川「うん、まぁドンマァイ」

154 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:19:45 ID:U7hD1wEQ0
川; ゚ -゚)「なかなか壮絶な経緯があったんだな」

(´<_` )「しかも『嬉しいこと』に来月には俺らの作品を実写化したAVまで発売される」

( ´_ゝ`)「そして『さらに嬉しいこと』にそれを記念して原作者である俺達のサイン会まで行われる始末だ。今日ここまで来たのはその臨時収入が入ったからだ」

川д川「……エロ漫画家のサイン会って需要あんのかぁ?」

(´<_` #)「こっちが!」

(# ´_ゝ`)「聞きたいわ!!」

川; ゚ -゚)(息ピッタリとは、流石だな)

155 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:21:01 ID:U7hD1wEQ0
(´<_`;)「ああ……もう嫌だ。とにかく酒だよ、酒」

(;´_ゝ`)「ミルナ、俺達にいつもの酒を頼むよ。もちろんチェイサー付きでな」

川д川「はいよぉ、ちょいと待ってなぁ」スタスタ

(´<_`;)「あっ、なんかスイマセン。下世話な話で盛り上がってしまって」

川 ゚ -゚)「いや、気にしないでくれ。そういう方面の話は明るくないからね、ある意味でほ新鮮でもある」

(´<_`;)「ハハハッ、そう言ってくれると助かりますよ」

川д川「ほらよぉ、いつものやつだぁ」コトッ

( ´_ゝ`)「おっ来た来た―さんくすミルナ」

156 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:39:08 ID:U7hD1wEQ0
川 ゚ -゚)「1人につきショットグラスが2つ? 見たことないスタイルだな。それにその酒は……」

( ´_ゝ`)「おっ、お姉さんこのスタイルを知らないって事はもしかして」

(´<_` )「普段、『テキーラ』を飲まない人なのかな?」

川 ゚ -゚)「テキーラか。若い頃に1度飲んだ事があるが、正直苦手でね」




( ´_ゝ`)「「」」(´<_` )




川;д川「あ―あ……ドンマァイ、クールゥ」

川 ゚ -゚)「ん?」

157 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:39:57 ID:U7hD1wEQ0
(# ´_ゝ`)「テキーラが! 苦手だと!!」

(´<_` #)「こんなに素晴らしい酒が! 苦手だと!!」

(* ´_ゝ`)「口内で瑞々しく弾けるアガベの甘味に爽やかな酸味が織り成す絶妙な味わいのテキーラを!!」

(´<_` *)「樽の香りが馥郁たる香りと旨味を生み出し塩とライムとチェイサーが無限の味わいを広げてくれるテキーラを!!」

(# ´_ゝ`)「若い頃の思いでだけで苦手と敬遠する日本人のなんて多い事か!」

(´<_` #)「ああ何と嘆かわしい!! こんなに素晴らしい酒の1部の苦い部分を味わい全てを否定してしまうなんて!!」

(# ´_ゝ`)「実に!」

(´<_` #)「実に!!」



(# ´_ゝ`)「「実に勿体ない!!」」(´<_` #)

158 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:41:09 ID:U7hD1wEQ0
川; ゚ -゚)「なっ……なんだ急に?」

川;д川「ああ、諦めなクールゥ。こいつらこうなったら、もう止まんないからよぉ」

川; ゚ -゚)「私は何か触れてはいけないスイッチに触れてしまったのか?」

( ´_ゝ`)「だが、お嬢さん! 悲しむ事は無い!!」

(´<_` )「 ここで会ったのも何かの縁だ!!」

( ´_ゝ`)「俺達、流石な『テキーラマエストロ』流石兄弟が!」

(´<_` )「テキーラを敬遠しているクールさんにテキーラの素晴らしさを教えて差し上げようじゃないか!!」

159 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:42:07 ID:U7hD1wEQ0
川; ゚ -゚)「いっ……いや、私はそもそもジン派なのでそこまでテキーラに興味は……(* ´_ゝ`)「ではまずはこの2つのグラスと飲み方のスタイルについて説明しようでないか!!」

川; ゚ -゚)「いやっ……ちょっ……!」

(´<_` )「おいおい兄者、あまりの熱気にクールさんが圧されてしまっているではないか。少しはクールダウンが必要だぜ?」

( ´_ゝ`)「おおっと、俺とした事がテキーラへの溢れ出る情熱が抑えきれず少々暴走してしまったたようだな」

(´<_` )「全く、兄者は仕方ないやつだ。だがその熱意、決して嫌いじゃないぞ?」

( ´_ゝ`)「お前こそ、その冷静な表情の裏に静かに燃やすテキーラへの情熱。この俺も見習いたいところだ」

(´<_` )「フフッ……兄者分かっているじゃないか」

( ´_ゝ`)「ああ弟者、やはり考えている事は同じだな」

160 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:43:11 ID:U7hD1wEQ0







(* ´_ゝ`)b「「流石だよな。俺ら」」d(´<_` *)








川; ゚ -゚)「何なんだ一体……」

川;д川「ああ、まあアレだぁ。ただのテキーラ馬鹿だぁ」

161 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:44:40 ID:U7hD1wEQ0
……………………………………

……………………………

………………………

…………………

……………

………



162 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:47:41 ID:U7hD1wEQ0
川 ゚ -゚)「テキーラマエストロ?」

( ´_ゝ`)「簡単に言うと、テキーラ専門のソムリエみたいな資格だな。テイスティング含めてテキーラに対する知識が問われる」

(´<_` )「テキーラバーなんかのスタッフはこの資格を取得している人が多いな。もちろん、俺達みたいな一般人が取得している場合もあるがな」

川д川「こいつらテキーラ限定で考えりゃあ、俺なんかよりもよっぽど詳しいからなぁ、それこそテキーラ馬鹿だわなぁ」

(;´_ゝ`)「ちょいちょ―い! 酷い言いようだな―」

(´<_` )「まあ、否定は出来んがな」

川 ゚ -゚)「ほお、つまりテキーラのスペシャリストなのか。それは凄いな」

163 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:49:14 ID:U7hD1wEQ0
( ´_ゝ`)「日本人はクラブやら居酒屋に置いてある安いテキーラを一気飲みしてトラウマにする場合が多いが、それはかなり勿体ない話だ」

(´<_` )「現に欧米諸国では高級酒として有名だしな。テキーラが流行ったのもハリウッドでブームが起きたからだと言われているしな」

川 ゚ -゚)「ほう。それは知らなかったな」

( ´_ゝ`)「ちなみにテキーラが入っているショットグラスは『カバジート』というものだ。まあ、ここら辺はどんなバーに行っても置いてある筈だ」

川 ゚ -゚)「ショットグラスにも名前がついているのか。ところでこの赤いドリンクは何だい? 見たところチェイサーのようだが……」

(´<_` )「ああ、これはテキーラ専用のチェイサー『サングリータ』だ。そのまま飲んでも美味しい筈だ」

川д川「ほれぇ、試しに飲んでみなぁ」

川 ゚ -゚)「どれ……ん、これは」チビ

164 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:50:31 ID:U7hD1wEQ0
川* ゚ -゚)「美味いな。スパイスを加えた『ブラッディーマリー』のような味だ」

( ´_ゝ`)「確かに近いな。アルコールは入っていないが。このサングリータのレシピは俺達が調合してミルナに渡しているんだ」

(´<_` )「トマトジュースにオレンジジュースにライム。そこにペッパーやチリソースやらガーリックパウダーやらその他もろもろを加えている」

( ´_ゝ`)「色々と組合せを試してみるのも楽しいぞ。通になるとテキーラによってサングリータのレシピも変えるからな」

川 ゚ -゚)「深い世界だな。ところでテキーラと言うと塩を舐めるイメージが強いのだがアレはどうなんだ?」

( ´_ゝ`)「ん―ぶっちゃけ好みだな。俺はロスアルトス派だからあまり塩は使わない」

(´<_` )「俺はバジェス派だからよく使うな。まあ、全員が全員という訳では無いが」

165 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:52:00 ID:U7hD1wEQ0
川; ゚ -゚)「なんだそのバジェスだとかロスアルトスだとか……?」

(´<_` )「おっと失礼。簡単に言うとテロワール、まあ、もっとザックリ言うなら地方の事だ。地方によって大まかに味わいが変わるんだ」

( ´_ゝ`)「ロスアルトスは甘めの物が多く、バジェスは辛めが多いな。無論、例外はあるが」

川 ゚ -゚)「地方によって味が変わるのか」

(´<_` )「土地の問題や高度の問題もあるからな。色々と飲み比べて好みを探すのがベターだな」

川 ゚ -゚)「むう……複雑なのだな」

( ´_ゝ`)「まあ、あれこれ説明するよりかは飲んだ方が早いよな」

(´<_` )「とりあえず俺達のオススメのテキーラを飲んでみてくれ」

( ´_ゝ`)「先ずは俺から。バジェス地方の『エラドゥーラ プラタ』だ!」

166 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:53:05 ID:U7hD1wEQ0



【エラドゥーラ プラタ】

馬蹄のマークが目印のアガベ100%『テキーラ』。
アルコール度数は40゚である。

原料となるアガベを全て自社農園で栽培し、酵母を使わず自然発酵させている拘りの1品。
値段は2000円前後だがその味わいは下手なウイスキー高級テキーラに勝るとも劣らない。

酒屋などによく売られており、入手難易度も低いのも魅力の1つ。
アガベ本来の瑞々しい自然な甘さと、テキーラ独特のフレッシュな酸味が絶品。
ほとんど樽熟成していない、このプラタはシルバーとも呼ばれている。



.

167 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:54:54 ID:U7hD1wEQ0
( ´_ゝ`)「一気飲みせずにチビチビ愉しんでくれ。塩とライムはお好みでどうぞ」

川 ゚ -゚)「せっかくだから塩もライムも頂こう。口に運ぶ順番に決まりはあるのかい?」

( ´_ゝ`)「一般的には塩、テキーラ、ライムの順かな? まあこれも好みだがな」

川 ゚ -゚)「では、そうしよう」ペロッ チビチビ

川 ゚〜゚)「……」モシャモシャ

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「……」チビチビ

川 ゚ -゚)「……いや、これは」



川*゚ -゚)「美味いな……いや、吃驚だ」チビチビ

168 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 00:56:26 ID:U7hD1wEQ0
( ´_ゝ`)b「よし! また1人テキーラに目覚めたな!」

d(´<_` )「流石だな。兄者」

川*゚ -゚)「何と言うか、本当に瑞々しいんだな。昔飲んだあの臭みが殆ど無い」

川*゚ -゚)「何といっても飲み口が非常に爽やかだ。塩のお陰なのかは分からないが思ったより甘味もある」

(* ´_ゝ`)「ハッハッハッ。これでテキーラへのトラウマは払拭されたようだな」

川*゚ -゚)「ああ、まさに『流石』だな。このサングリータとの組み合わせも最高だよ」チビチビ

(´<_` )「では次はロスアルトス派の俺のオススメだな。『パトロン アネホ』を味わってくれ!」

170 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 01:09:24 ID:U7hD1wEQ0



【パトロン アネホ】

プレミアム・テキーラのブレイクにもっとも成功したといえるテキーラ。
アルコール度数は40゜で、言うまでも無くアガベ100%である。

その味わいを一言でまとめるなら、とにかく『柔らかい』。
口の中でふんわりと広がる、その柔らかい味わいは安っぽいアルコールの辛さや刺など一切感じさせない、まさに高級酒の貫禄がある。
味わいは、蜂蜜や焦げたバターや砂糖を感じさせるほど濃厚かつ、甘い。

アネホは決して安いとは言えない値段だが、機会があるなら是非とも味わって欲しい。
酒の味の表現での『柔らかい』という真の意味を理解できる筈だ。



.

171 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 01:12:20 ID:U7hD1wEQ0
川 ゚ -゚)「今回は塩無しで頂こう」チビチビ

川 ゚ -゚)そ「!?」

川; ゚ -゚)「こ……これは」チビチビ

(´<_` )「どうだい、パトロンのお味は」

川*゚ -゚)「これは凄いな。テキーラとはこんなにも香り高く甘い酒だったのか!」チビチビ

川*ー -ー)「蜂蜜やバターを思わせる自然な甘さだ……これは下手なウイスキーなんかとは比べ物にならない味わいだ」チビチビ

川*゚ -゚)「そしてやっぱりこのサングリータとの味わいが最高だ」チビチビ

(´<_` )「パトロンはテキーラの中でもかなり甘い方だからな。おまけにアネホとなればその味わいは格別だ」

川 ゚ -゚)「そう言えば先程から気になっていたのだが『プラタ』や『アネホ』とはどんな意味なんだい? ブランドの名前かい」

( ´_ゝ`)「おっと、俺らとした事が」

(´<_` )「その説明をすっかり忘れていたぜ」

172 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 01:15:06 ID:U7hD1wEQ0
川д川「簡単に言うと熟成期間の名称だわなぁ」

川 ゚ -゚)「熟成期間?」

(´<_` )「ミルナの言う通りテキーラには熟成期間によって名称が変わるんだ」

( ´_ゝ`)「殆ど熟成していない、もしくは全く樽熟成していない物は『ブランコ』。2ヶ月以内の熟成が『レポサド』」

(´<_` )「1年以内が『アネホ』だな。樽熟成が長ければ長いほど樽の香りがついて滑らかな味わいになり、高価になる」

( ´_ゝ`)「逆に短い物は安価だし原料のアガベの瑞々しい甘さが主張されたものになるんだ」

(´<_` )「ちなみに『プラタ』はちょっとした例外でブランコとレポサドの間みたいなものなんだ。まあ他にも色で識別する場合もあるが、ややこしいから置いておこう」

川 ゚ -゚)「なるほど……そういう意味があったのか」

173 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 01:16:40 ID:U7hD1wEQ0
川д川「よぉ、クールゥ。『エラドゥーラ』と『パトロン』のどっちが好みだったぁ?」

川 ゚ -゚)「甲乙つけがたいが、インパクトの差で『パトロン』かな」

川д川「りょおかぁい。ちぃと待ってなぁ」スタスタ

川 ゚ -゚)「?? しかし、昔飲んだテキーラとは同じ種類とは信じがたい味の違いだな」

( ´_ゝ`)「まあ、原料の違いがあるからな」

川 ゚ -゚)「同じテキーラなのに原料が違うのかい?」

(´<_` )「厳密に言うと比率の違いだな。原料のアガベを100%使っているものと、トウモロコシやサトウキビを混ぜ合わせた『ミクスト』という物があるんだ」

174 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 01:19:24 ID:U7hD1wEQ0
「日本で一般的に流通しているのは『ミクスト』が多いからな。ちなみに今日飲んでもらったのは両方とも100%の物だ」

川 ゚ -゚)「なるほど。本当に奥が深い世界だな」

川д川「お待たせぇ。ほれ、詳しくなったところで乾杯しようぜぇ」ゴトン

Σ(´<_`;)「ちょっ!?」

(;´_ゝ`)そ「えっ! マジで飲んでいいのコレ!?」

川 ゚ -゚)「これもテキーラなのか?」

(* ´_ゝ`)「テキーラですとも! 1本で軽く1万は越える高級テキーラ!!」

川; ゚ -゚)「高いな……」

(* ´_ゝ`)「やったぜ―――さんくすミルナ――!」

川∀川「クールが『パトロン』が好きって言ってたからなぁ、同じロスアルトス地方の『ドンフリオ 1942』持ってきてやったぜぇ。ケッケッケッ」

175 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 01:40:42 ID:U7hD1wEQ0



【ドンフリオ 1942】

オーナー自らの名を冠した『ドンフリオ』シリーズの最高級『テキーラ』の1つ 。
テキーラ界の金字塔と言っても過言では無いだろう。

アガベ本来の瑞々しい甘味にバニラの華やかな甘さ。
さらにそれを包み込むようにバターや砂糖、キャラメルといった濃厚な甘味が後追いし、口内に溶けるように広がる。
甘く、スムースで、香り高い。
万人が美味いと言うであろうこの『テキーラ』の味わいはスピリッツ界の中でも恐らく目を見張る物があるだろう。

値段も高く、置いてあるバーも少ないが機会があったら逃すこと無く飲んで欲しい。
とにかくこの酒は、濃厚で、甘いのだ。



.

176 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 01:43:17 ID:U7hD1wEQ0
( ´_ゝ`)「」チビチビ

(´<_` )「」チビチビ

川д川「」チビチビ

川 ゚ -゚)「」チビチビ

(* ´_ゝ`)「あぁ……バジェス派の俺でも蕩けてしまいそうだ」

(´<_` *)「こんなに濃厚な甘さが味わえるスピリッツはなかなか無いよな……最高だ」

川*д川「ん―やっぱり美味いなぁ」

川 ゚ -゚)そ(これは……本当にテキーラなのか!? さっきの『パトロン』よりも何倍も甘いぞ!!)

川д川「どうよぉ、クールゥ?」

川 ー -ー)「言うまでも無いだろう……」




川*゚―゚)「最高だよ」

177 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 01:45:10 ID:U7hD1wEQ0
川*∀川「だなぁ……あぁ美味いなぁ」チビチビ

川*゚ -゚)「」チビチビ

(* ´_ゝ`)「いや―この香り、流石だよな弟者」チビチビ

(´<_` *)「ああ。この味わい、流石だな……兄者」チビチビ

川*゚ -゚)(……誰にも邪魔されずに静かに飲めるという理由でこの部屋に通っていたが)

川*゚ -゚)(今日みたいに新しい世界を教えてくれるならば、もっと色んな人と話してみるのもいいかもしれないな)

川 ー -ー)(……ああ)チビチビ






川*ー -ー)(美味いな……)

178 名前:名も無きAAのようです :2015/03/24(火) 01:45:56 ID:U7hD1wEQ0







     【CLOSE】







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