23 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:41:10 ID:LmHfyBPs0
川д川「……ねみぃ」

川д川「でももうすぐ客来るしなぁ。とりあえず頑張って起きてねぇとなぁ」

川д川「どうせ、あの女の事だしぃ? 適当にジンばっかり飲んでくんだろうなぁ」

川д川「つってもレア物なんか殆ど切らしてるからなぁ。まあ安酒でも文句は言わせねぇけどよぉ」


ピンポーン


川д川「あぁ、来た来たぁ。『よぉ、入って来いよぉ』っと」ガチャッ

川д川「……」

川д川「グラスでも磨いておくかぁ」

川д川「……」キュッキュッ

川;д川「……こんな事やってっから、俺ん家がBARだって勘違いされるんだよなぁ、きっとぉ」

24 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:41:58 ID:LmHfyBPs0






【糞ったれBAR NEETのようです】


     【OPEN】



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25 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:43:46 ID:LmHfyBPs0
川 ゚ -゚)「やあ、しばらく」

川д川「はいはい、どうもこんばんわぁっと」

川; ゚ -゚)「……相変わらず君はパジャマにスリッパなんだな」

川д川+「シルク100%パジャマだぜぇ?」キリッ

川; ゚ -゚)「そこは別にどうでもいいのだが。着替えようという発想には至らないのかい?」

川д川「ダルいめんどいしんどい辛い」

川; ゚ -゚)「ニートの鏡だな君は。ああ、忘れない内に渡しておこう」

川д川「なぁんだこれぇ?」

川 ゚ -゚)「ウチのレストランで販売している土産用のケーキだ。モララーから甘いものが好きだと聴いてな」

川д川「ふぅん。まあ、ありがたく頂戴しとくわぁ」

川 ゚ -゚)「いつも美味い酒を飲ませて貰ってるからな。と言うわけでジンをくれ」

26 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:44:58 ID:LmHfyBPs0
川д川「ジンマニアだなぁ、本当にぃ。いつも通りマラッカでいいのかぁ?」

川 ゚ -゚)「いや、今日はビーフィーターを頼む」

川д川「?? クラウンジュエルかぁ? それともウェットかぁ?」

川 ゚ -゚)「いや、ごく普通のビーフィーターだよ。47°でお願いするよ」

川д川(珍しいなぁ、いつもはレア酒ばっかり飲む癖によぉ)

27 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:45:52 ID:LmHfyBPs0



【ビーフィーター・ジン47゜】

ロンドン・『ドライ・ジン』の一種で、ラベルの赤い制服を身につけた男の姿がトレードマーク。
名前の由来は、その芳醇と力強い風味を持つ味のイメージから、屈強なことで知られた「ビーフィーター」という実在した人物の名をつけたと言われる。

まさにジンの王道で、そのレシピはトウモロコシと大麦から蒸溜した蒸留酒をベースにして、ジュニパー・ベリーやコリアンダーなどで風味付けがなされているが詳しいレシピは不明。
通常、アルコール度数40°の物と47°の物の2種類で販売されており、こちらは人気の47°の方にあたる。

最近ではコンビニやスーパーなどで手軽に入手でき、その手軽さとコストパフォーマンスの良さから多くのBARでカクテルベースとして重宝されている。



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28 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:47:08 ID:LmHfyBPs0
川д川「ほらよぉ。いつも通り、常温ツーフィンガーのストレートだぁ」コトッ

川 ゚ -゚)「ありがとう。しかし、ここはいつもながら素晴らしいBARだな」

川;д川「だからBARじゃ……いや、もう否定すんのもめんどくせぇ」

川 ゚ -゚)「酒の種類は当然だが、やはり室内の雰囲気というのは重要だ。この前、仕事の関係で大きなBARに行ったときに痛感したね」チビチビ

川д川「雰囲気ねぇ。まあ俺はあんまし気にしねぇけどなぁ」

川 ゚ -゚)「しかしこの空間のデザインはかなりセンスがいいと思うのだが。君の発想かい?」チビチビ

29 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:48:23 ID:LmHfyBPs0
川д川「うんにゃあ。知り合いにデザイナーが居てよぉ。完璧にソイツ任せだなぁ」

川 ゚ -゚)「君の事だ。『金はいくらでも払うから適当にカッコよくしてくれ』とでも言ったのだろう?」チビチビ

川;д川「……なぁんで分かったんだぁ?」

川 ゚ -゚)「君ほど分かりやすい人間もそうは居ないからな。っと、次はゴードンを頼む」カラン

川д川「へいへいっとぉ。度数はぁ?」

川 ゚ -゚)「もちろん、47.3°だ」

川д川「マニアは細けぇなぁ……ほらよぉ」コトッ

川 ゚ -゚)「ありがとう」

30 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:49:09 ID:LmHfyBPs0



【ゴードンズ・ジン47.3°】

イギリス生まれの『ドライ・ジン』
アレクサンダー・ゴードンによって1769年に製造され、その製造法は今ではイギリスの特許を取得している程。
その製造方法は世界中で12人しか知らないらしい。

アメリカでは何故か低クオリティのブランドと見なされているらしいのだが、日本では根強い愛飲者が数多く存在する程に人気の銘柄。
その最大の特長は他のジンには譲らないドッシリとした濃厚な味と風味である。
重厚なその味わいはカクテルベースに使用したさいにも、力強くその風味を主張してくる。


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31 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:50:59 ID:LmHfyBPs0
川 ゚ -゚)「……ふむ。久々に飲むがやはり味が濃いな。やはり男性的な味と言われるだけはあるな」チビチビ

川д川「つ―かよぉ、いつもと違ってどうして庶民的なジンばっかり飲むじゃねぇかぁ」

川 ゚ -゚)「あぁ。実は末の妹にジンを布教してやろうと思ってな。その選別に来たわけだ」

川д川「妹ぉ?」

川 ゚ -゚)「ああ、あいつもようやく酒の飲める年齢になったからな。2番目の妹のジン嫌いを移される前に布教しなければ」

川д川「あんた何人姉妹なんだよぉ?」

川 ゚ -゚)「姉が1人、妹が2人の4人姉妹さ。しかし、私の姉妹の中ではジンの評判はあまり良くなくてね。主に香りが」

川д川「あぁ、まぁ、確かに独特の臭いだしなぁ」

川 ゚ -゚)「全く、それが素晴らしいと言うのに……という訳で、入手しやすくて初心者にも優しい銘柄を探していた訳だよ。」

川д川「っつ―とぉ、『ビーフィーター』『ゴードン』『ギルビー』『ボンベイ』『タンカレー』『ウィルキンソン』辺りかぁ?」

32 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:52:21 ID:LmHfyBPs0
川 ゚ -゚)「ああ。だが初心者に飲ませるからこそ、必要最低限のクオリティは必要だ」

川д川「んじゃ『ギルビー』と『ウィルキンソン』は外しとくかぁ」

川 ゚ -゚)「それにあまり癖が強いのも良くないな。例えるならウィスキーが苦手な人間に『オクトモア』や『ラフロイグ』を勧めるようなものだからな」

川;д川「なんでよりによってアイラの2つなんだよぉ。んじゃ、まあ『ボンベイ』は外すかぁ、あれは華やかで美味いんだけどなぁ」

川 ゚ -゚)「実質は3択だな。という訳で次はタンカレーを頼むよ」

川д川「はいよぉ」トクトク

33 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:53:10 ID:LmHfyBPs0



【タンカレー】

イギリス産の『ドライ・ジン』。
4回の蒸留により生み出される、キレのある味わいが人気。
日本ではジンに迷ったらタンカレー買うべしと勧める人が多数おり、それ程までにクオリティの高い1品。

ジン独特の華やかさと上品かつ、確かな松ヤニの風味。
完成度の高いその味わいは「ジンのロールス・ロイス」など様々な呼び方で称賛されている。

また、特徴的なボトルデザインも人気の秘密。


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34 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:54:18 ID:LmHfyBPs0
川* ゚ -゚)「うむ、流石はジンのロールスロイスだな。ケネディが愛していたのも頷ける」チビチビ

川д川「まあ、無難っちゃあ無難だろうよぉ。ちなみに妹にもストレートで飲ませるつもりかぁ?」

川 ゚ -゚)「いや、流石にそれは厳しいな。手始めに『ジントニック』か『ジンリッキー』を勧めるつもりさ」

川д川「ジントニ飲ませるくらいなら『ギムレット』やら『ジンライム』の方が美味いのによぉ」

川 ゚ -゚)「ギムレットにはまだ早すぎるさ。2つの意味でな」チビチビ

川д川「『長いお別れ』だっけなぁ。んでぇ? 結局どうすんだぁ?」

35 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:55:11 ID:LmHfyBPs0
川 ゚ -゚)「ふむ。ロールスロイスも捨てがたいが今回は王道を勧めてみようかと思う」

川д川「ビーフィーターかぁ。まぁ、いいんじゃねぇ?」

川 ゚ -゚)「この銘柄ならモララーのBARにも置いてあるしな。彼にジントニックでも作って貰うことにするよ」

川д川「あぁ、そう。まぁ確かにアイツにの作るカクテルは美味いけどねぇ」

川 ゚ -゚)「ああ、彼の腕は天才的だよ。あれでもう少し知識や教養が身に付いたら言うこと無しなんだけどな」

川д川「アイツに教養なんか期待してやんなよぉ。スクール時代から馬鹿だったんだからなぁ」

川 ゚ -゚)「君とモララーはバーテンダースクールの同期だったとか?」

川д川「まぁなぁ。俺はすぐに辞めちまったけどよぉ」

36 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:56:34 ID:LmHfyBPs0
川 ゚ -゚)「君の知識とモララーの腕が合わさったら無敵な気もするけどね」

川д川「馬鹿言うなぁ。モララーは馬鹿だからモララーらしいんだよぉ」

川 ゚―゚)「ふふっ……確かにそうかもな。そろそろチェックを頼む」

川д川「3杯だから300円」

川; ゚ -゚)「相変わずのどんぶり勘定だな、ほら」

川;д川「だぁかぁらぁ、毎度毎度5000円も要らねぇっつぅのぉ」

川 ゚ -゚)「気持ちだよ、取っておいてくれ。ここみたいに落ち着いて酒が飲める場所は他に無いんだ」

川д川「はぁ? BARなんざそこら中にあるだろうがぁ」

川 ゚ -゚)「1人で飲んでいると、周りの小蝿共がうっとおしくてね。その分ここは静かでいい」

37 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:57:38 ID:LmHfyBPs0
川д川「ふぅん。美人過ぎるのも大変なんだなぁ」

川 ゚ -゚)「……」

川д川「あぁん? なんだぁ?」

川 ゚ -゚)「いや、気にしないでくれ。君がそんな気で言っている訳では無いのは分かっているよ。」

川д川「??」

川 ゚ -゚)「ではまた来るよ。次は姉妹の誰かを連れて来る」

川;д川「おいぃ……頼むからこれ以上常連を増やさないでくれよぉ」

川 ゚―゚)「他の経営者に聞かれたら呪われそうな言葉だな。では失礼する」

38 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:58:37 ID:LmHfyBPs0
カランカラーン



川д川「安酒3杯に5000円貰ってもなぁ、なぁんか逆に申し訳無いわなぁ」

川д川「……ん? 札の下に紙切れが混じってやがるぅ」

川д川「『アドレスしか教えていなかったので電話番号を教えておくよ。用があったらかけてくれ。
別に用が無くてもかけてくれて構わないがな。
クールより』……ってなんだぁ?」


川д川「なぁんでわざわざメアド知ってるのに番号なんか渡すのかねぇ?」

川д川「……」

川д川「変なやつぅ」

川д川「……」

川д川「……とりあえず寝るかぁ」

39 名前:名も無きAAのようです :2015/01/02(金) 23:59:21 ID:LmHfyBPs0







     【CLOSE】






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