683 名前:名も無きAAのようです :2012/09/20(木) 19:37:49 ID:Pbos/0Qk0


ザワザワ ( ・∀・)「………」 ザワザワワ


その日僕は、上流階級の貴族様たちが所狭しと蠢いている、豪華客船に揺られていた。

彼のタイタニック号あたりを想像して頂ければいいだろう。
巨大なシャンデリアが浮かぶパーティー会場には酒池肉林のごとく料理が並べられ、
流行のタキシードやドレスを身に纏った紳士淑女が話に花を咲かせていた。

お客は名のあるお家の伯爵や貴婦人、映画俳優にスポーツ選手、大企業の社長様等々、
私立の探偵業を営む貧乏一般人の僕にとってこういう場は不慣れというか初めてで、目がチカチカして、些か居心地が悪かった。

( ・∀・)「………酔ったかもしらん…」


そんな僕が何故こんなところにいるのかというと、当然遊びのためでなんかではなく、仕事の依頼があったからだ。
依頼主は名家も名家、なんとあのブーン・エドワード卿の娘である、ミス・デレ本人なのだった。

エドワードの名は100年余りの歴史があり、我が祖国でもあるVIP国の発展にも大いに貢献されてきた由緒あるお家だ。
まあ、これは人づてに聞いた話なのだが…。

そんな高潔で煌びやかな淑女が何故下町のボロ探偵なんかを訪ねたのかというと、つまりはこういうことだった。

684 名前:名も無きAAのようです :2012/09/20(木) 19:39:50 ID:Pbos/0Qk0
ζ(゚ー゚*ζ「折り入ってお話があるのです…。実は…わたくし、結婚することになったのです」

(;・∀・)「…ほう!それは、おめでとうございますです…!はい…」

この時はまだ彼女の訪問に戸惑いが大きくありすぎたのだった。

ζ(゚ー゚*ζ「ありがとうございます。それで、その…相手の方について、調査をお願いしたいのです…」

(;・∀・)「はぁ…。失礼ですが、そのお相手というのは…」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。ジョルジュ子爵です」

( ・∀・)「!」

ジョルジュ・アドバーン子爵。これまた有名貴族の一人であり、その名を知らない者はいないほどだ。
顔は整っていて、振舞いは紳士そのもの。おかげで女子にはモッテモテ。
なるほど…だんだん意図がわかってきたぞ…。


( ・∀・)「なるほど…。つまりその…浮気の調査をしてほしいと?」

ζ(゚ー゚;ζ「まあっ!浮気だなんて!!」ガタッ!

(;・∀・)「ああいや!これは失礼致しました!」

ζ(゚ー゚*ζ「…いえ、いいのです。極端に言えば、そういうことなのです…」

その後の話を要約するとこうだ。
ジョルジュ子爵はモテる。今までの女遊びも相当のもののようだった。

この度めでたくミス・デレと結婚するに至ったはいいが、それにあたって女遊びは二度としないという誓いをその時立てたというのだ。
この誓いを破約しないかどうか一週間だけ見張ってくれというのが、ミス・デレの依頼内容だった。

685 名前:名も無きAAのようです :2012/09/20(木) 19:41:25 ID:Pbos/0Qk0
それにしても何故、もっと有名な探偵会社に頼まないのかと尋ねたところ

ζ(゚ー゚*ζ「スキャンダルにされたくないんですの…。あくまで結婚は誓いを果たせているのを確認してからですから…」

ということだった。
有名どころなら一層秘密は厳守しそうなものだが、せっかくの上客なので断る理由もなかった。






( ・∀・)「11時ジャスト。今のところ目立った絡みは無し。と」カキカキ

なにはともあれ、依頼を受けてから6日が経った。
そして今、遊覧船に揺られている今日が約束の7日目なのだが、今のところジョルジュ子爵はちゃんと誓いを守っている。

もちろん、船という狭い空間の中で(もっともこの船はすさまじくでかくて広いが)さまざまなレディから挨拶をされているが、
紳士らしい受け答えの他にはいやらしく絡む様子は見受けられない。

ミス・デレもまだ結婚は公表していないため、ジョルジュ子爵とは普通に挨拶をする程度のものだった。


( ・∀・)「しかしこんな場所でただ見張ってるだけってものな…。シャンパンでも一杯もらおうか」

この調子ならジョルジュ子爵殿は無事誓いを果たし、あの見目麗しいミス・デレとめでたく結婚できるだろう。
そう思いながらボーイからシャンパンのグラスを受け取ろうとしたときだった。

ガシャン!という音が聞こえたかと思うと、女性の叫び声が船内に響き渡った。

686 名前:名も無きAAのようです :2012/09/20(木) 19:42:28 ID:Pbos/0Qk0
ζ( ー *ζ「キャァァァァァアアアアアアアア!!!!!」

悲鳴はミス・デレのものだった。
船内からは次第に他の女性たちの悲鳴も沸き上がり、男性たちはそれに対して落ち着いて!と促したり医者を呼んだりしていた。
何事かと思い、僕も集まる人をかき分けてミス・デレの声がした方へ進んでいった。
ようやく事態の中心へ辿り着いたとき、信じられない光景が目に飛び込んできた。



(  ω )


ブーン・エドワード卿が、泡を吹いて倒れていた。
船医は既に駆けつけて容態を見ていたが、やがて静かに首を横に振った。
ブーン・エドワード卿は死んだ…いや、毒殺されたのだ。

687 名前:名も無きAAのようです :2012/09/20(木) 19:43:17 ID:Pbos/0Qk0
ζ(゚ー゚*ζ「犯人を捕まえてほしいんです」

(;・∀・)「………」

しばらくしてから落ち着きを取り戻したミス・デレは僕にこう言った。
予期していなかったと言えば嘘になるが、それでもやっぱり驚いた。

(;・∀・)「船が上陸し、警察を待ったほうがよろしいのでは……」

ζ( ー ;ζ「殺されるかもしれないんですよ!?」

(;・∀・)「………」

可能性がないわけではない。
ブーン氏個人ではなく、家そのものに恨みをもっていて、一家を根絶やしにしようなんてのもあり得る話である。
特に貴族となると、なおさらだ。


ζ( ー *ζ「それに私…見たんです………」

(;・∀・)「見たって…何をですか…?」

ζ(゚ー゚;ζ「………犯人を…!」

688 名前:名も無きAAのようです :2012/09/20(木) 19:44:35 ID:Pbos/0Qk0
ミス・デレの話によれば、ブーン氏が食べ物をよそった皿からちょっと目を離した隙に、その皿に液体の毒が盛られたらしい。
しかもミス・デレはその姿をハッキリと見たというのだ。

ζ(゚ー゚*ζ「ABC株式会社の社長…モナー氏です……」

ζ(゚ー゚*ζ「間違いありません。私はこの目でしっかり見たのです!」

そこまで断定的ならと、直接話を伺ってくるということで、僕はミス・デレの部屋を後にした。
といっても、「あなたが犯人だ!」などという早とちった行動はしない。
あくまで参考人として、話を聞きに行く程度だ。




彼と接触するのは容易かった。
一人でバルコニーにおり、片手に赤い液体が入ったグラスを持っていた。

( ・∀・)「失礼します。私、こういうものですが…」

( ´∀`)「探偵さんモナか。何の用ですかなモナ?」

( ・∀・)「はい。あいや、お手間を取らせるつもりはありません!実は先程起きたブーン氏殺害事件について、聞き込みをしておりまして…」

( ・∀・)「誰か怪しい動きをした者を見なかったかとか、そういったことを手当たり次第の方々に伺っている次第なのです…」

( ´∀`)「怪しい者モナか………モナ…いいでしょうモナ。実は船が港に着いたら、警察に届けようと思っていたことがあるんですモナ」

(;・∀・)「!…と、いいますと?」

(;´∀`)「驚かないでくださいモナ?…実は…私は犯人を目撃してしまったんですモナ!!」

( ・∀・)「……………え?」

689 名前:名も無きAAのようです :2012/09/20(木) 19:45:55 ID:Pbos/0Qk0
それからは実に奇妙だった。
モナー氏は、犯人はギコ・ブランドー男爵だというのだ。
ミス・デレと同じように、皿に液体の毒を盛っていたと証言した。

さらに



(,,゚Д゚)「犯人はシャキン社長だ。オリエント社のな。俺はこの目で見たんだ!」

事態は

(`・ω・´)「ああ、見たさ…。あれは確かにシラネーヨさんだった。間違いない。」

思わぬ方向へ

( ´ー`)「シッテるよ。あれはレモナ夫人だったよ……。あの人がまさか犯人だなんて、ねぇ…」

進んでゆくのだった…

|゚ノ ^∀^)「弟者さんですわ。お医者の彼ならやりかねないことじゃありません?」

(´<_` )「俺は見た…。デミタス伯爵が皿に液体をチョンっと垂らすのをな…。」

(´・_ゝ・`)「見ましたよ。ええ見ましたとも。あれは、ジョルジュ子爵だった。間違いないでしょう。」

690 名前:名も無きAAのようです :2012/09/20(木) 19:46:42 ID:Pbos/0Qk0
(;・∀・)「怪しい動きをした者を見なかったかとか、そういったことを、手当たり次第の方々にですね……」
  _
( ゚∀゚)「………」

(;・∀・)「あの…」
  _
( ゚∀゚)「じゃあ聞くがよ、探偵さん」

(;・∀・)「………なんでしょう?」
  _
( ゚∀゚)「ブーンさんを殺したのは………あんたなんじゃないのかい?」

(;・∀・)「………………へ?」


僕は今、この船に乗ったことをすこぶる後悔したのだった。





( ・∀・)10人目の容疑者のようです


※自分でもオチがわからないので公開できません


戻る inserted by FC2 system